闇の狩人 後篇@時代劇専門チャンネル

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土曜日に引き続いて、時代劇専門チャンネルのオリジナル時代劇『闇の狩人』の後篇を視聴しました。

前篇のふりかえり

前篇では、弥平次、弥太郎、五名の清右衛門ら主要キャラクターの生き方や性格、置かれている立場、考え方から揺れ動く心情や、巻き起こる事件を散りばめた内容になっていて、散発的に見せ場が作られており伏線も多様に張り巡らされていました。「運命の歯車が回り出してきた」というべき内容が、約90分に落とし込まれていました。

雲塚の弥平次(中村梅雀)

本格の盗賊・釜塚の金右衛門の右腕と呼ばれた人物で、金右衛門の死後、釜塚一党を取りまとめようとするが、無益な争いを好まない性格から跡目争いを引き起こしてしまい、その騒動を自ら収めようと奔走。また、上州へ湯治に出かけた際、坊主の湯で助けた記憶喪失の若侍・谷川弥太郎が江戸で殺し屋(仕掛人)として人殺しを行っていることを憂いている。
釜塚一党の掟を破った五郎山の伴助を粛清するも、釜塚一党の跡目を狙う土原の新兵衛に命を狙われることに。

谷川弥太郎(福士誠治

上州の崖の下で倒れていたところを弥平次夫婦に助けられる。記憶を失っており、自分の名前すらも思い出せないまま時が過ぎていくが、助けてもらった弥平次夫婦を慕い、恩に報いる形で、弥平次の名前から一字をもらい「谷川弥太郎」として生きはじめる。
江戸へ向かう途中、浪人たちに襲われていた老人を助けたことが縁となり江戸で暮らすこととなるが、その老人こそ、香具師の頭領であり、金で殺しを請け負う仕掛人の元締・五名の清右衛門であった。恩義ある清右衛門の頼みを断れず、その鋭い剣捌きで人殺しの稼業を続けていく。
ある晩、仕掛けた侍から「お前は…笹尾平三郎」と言われたことをきっかけに、本当の自分が一体誰なのか苦悩しはじめる。その苦しみは、弥太郎の世話をするよう命じられていた女中・おみちと関係を持つきっかけとまでなってしまう。

五名の清右衛門(津川雅彦

仕掛人の元締として、方々から金を貰い殺しを請け負っている。劇中では、土岐丹波守の家中からの仕掛けを主に請け負っている模様。弥太郎のことは、行き倒れ寸前の状態を助けたことがきっかけで、江戸で面倒を看ている。弥太郎に対しては仕掛人としての手駒として、用心棒として、そしてどこか息子のような愛情を注ぐ一面を持つ。

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闇の狩人(時代劇専門チャンネル)ホームページより

後篇を視聴して

後篇冒頭から、物語が動き出すという雰囲気がすぐに伝わってきました。釜塚一党の跡目を狙う土原の新兵衛が、五名の清右衛門に弥平次殺しを依頼します。そして、弥太郎は弥平次を狙いますが、相手が弥平次であることに気付き仕掛けることができません。弥太郎は、またここでも「大恩ある弥平次を殺そうとしてしまった」と苦悩し、仕掛人でいることに心底嫌気が挿しはじめます。相思相愛となったおみちへの想いも募る中、ついに弥太郎は自分の住まいを抜け出し弥平次と再会します。前篇では、途中からそれぞれ別の道を歩んでいた二人の運命が、ここで再び交わるのです。クライマックスへの第一段階が整ったわけです。ここで、弥平次が言う「おめえさんのことは、もう他人事じゃなくなってきたんだよ」というセリフは、父親としての想いも込められているように感じます。

弥平次は弥太郎の過去を探るために動き出します。調べを進める内に、どうやら弥太郎が土岐家の家臣であることを突き止めます。この、弥太郎の過去を探るシーンも非常に丁寧に描かれており、前篇には出てこなかった小林綾子が登場し、僅かな出演時間ながらも、弥太郎の過去と土岐家との因果を弥平次(と視聴者)に伝える重要なキーパーソンとしての役割をしっかりと果たしています。そして、山口馬木也扮する土岐家の国家老が、なぜ清右衛門にたびたび仕掛けの依頼をしているのか、という理由も見えてきて、後篇を見ていくにつれて、もつれていたり、まったく別のところにあった糸が、じょじょに解きほぐされて、一本の糸へとつながっていくような感じを受けました。こういうところに、構成や演出の上手さを感じます。もちろん、その中には役者の演技があったればこそで、主役級の3人だけじゃなく、風吹ジュン演じる弥平次の妻・おしまや、清右衛門の妻・お浜、前篇ではただ弥太郎の世話をするだけだったおみち等、脇を固める俳優たちの個性が輝いてくるのも印象的でした。

弥太郎が土岐家の家臣であったことが判明しても、弥平次は弥太郎に「おまえさんの素性は分からなかったよ」と告げます。これには、ある理由があって隠さざるを得なかったんですが、この嘘は、前篇の冒頭で釜塚の金右衛門から「釜塚の頭はお前に任せたい」と言われていたにも関わらず、嘘をついて跡目争いを引き起こしてしまった嘘とシンクロしてしまい、「また弥平次の嘘が不幸を招いてしまうんじゃないか」とドキドキさせました。

弥太郎は、弥平次のために土原の新兵衛を始末した後、武士を捨て、おみちと江戸を出る決意をします。一方で、清右衛門はなんと笹尾平三郎(=谷川弥太郎)の仕掛けを国家老から依頼されてしまいます。そして、弥太郎を江戸から送り出す弥平次。3人が、それぞれ違う道を歩み出そうとした時に起こる、もう一つのドラマが波乱を起こしクライマックスを盛り上げます。清右衛門は江戸を去ろうとする弥太郎に対して粋な計らいを見せてくれますが、まさに因果応報というべき最期を迎えます。彼はどちらかと言えば“悪”に近いポジションであったと思いますが、闇の住人としての「意地」と弥太郎への「優しさ」を最期まで貫き通した人物でした。

『闇の狩人』…盗賊、殺し屋といった、光の当たらない闇の世界に生きる人々の生き様と苦悩、その最期までを丁寧に描いている作品でした。その中には、弥太郎を取り巻く親子愛のようなものまでも描かれており、闇の世界という冷たくハードな世界の中に、人の情熱や優しさといったものを垣間見ることができました。弥太郎には父親が二人いたと思います。そのうちの一人とも言うべき清右衛門は死に、もう一人の父親である弥平次と弥太郎・おみちはそれぞれ別の道を歩んでいきます。その道が、物語の発端となった上州・坊主の湯で交わるというのも、少々偶然が過ぎる感じもしましたが、ハッピーエンドとして“はじまりの場所”から“はじまりの場所”へと還っていくというのが、心温まる穏やかな感動を覚えました。

見終わってエンドロールが流れる時、弥平次(中村梅雀)がとても嬉しそうな顔をします。視聴者も、きっと同じような顔をしていたのではないでしょうか。少なくとも私は、そんな表情になっていたと思います(笑)。とても心がほっこりとする時代劇でした。時代劇ファンにはもちろん、ご夫婦や恋人同士でも、一度見ていただきたい時代劇です。年齢を問わずに楽しめる作品ですよ。

再放送

2014年11月3日(月・祝)の20時から、時代劇専門チャンネルにて前篇と後篇をまとめて再放送する予定です。見逃してしまった方は、この機会にぜひ。

追記

2014年10月18日(土)の16時から、時代劇専門チャンネルにて前篇・後篇の再放送があるそうです。本放送の好評を受けて、再放送を増やしたのかも。

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