闇の狩人 前篇@時代劇専門チャンネル

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今日は、時代劇専門チャンネルのオリジナル制作時代劇『闇の狩人』の前篇を視聴しました。

※「闇の狩人」は英訳すると“darkhunter”だそうです。

池波正太郎原作の時代劇で、鬼平、剣客、梅安の、それぞれのエッセンスが詰め込まれた池波文学の集大成とも言うべき作品……と、番宣では紹介されていましたが、その言葉に恥じぬかのように、今回は前後篇に分かれた超大作として作られた模様で、相当力を込めて作られたようです。地上波での宣伝(時代劇専門チャンネルはフジテレビが絡んでいる)やメイキング番組の放送等、主演の中村梅雀を出演させて作られた番組が時代劇専門チャンネルで何度も放送され、作品を盛り上げていました。

それだけ盛り上げて盛り上げて、ようやく今日が放送日となったわけです。ちなみに、『闇の狩人』は1979年には五社英雄監督による劇場版として、1994年には貞永方久監督によるテレビ東京開局30周年記念テレビスペシャルとして、それぞれ映像化されています。どちらも制作は松竹ですが、今回も松竹が手掛け、監督は『必殺シリーズ』の世界観を現場から作り上げてきた石原興が務めています。なお、石原監督は今年7月に放送された『必殺仕事人2014』の監督も手掛けており、中村梅雀は『必殺仕事人2014』に悪役として出演している、という縁もあります。

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闇の狩人(時代劇専門チャンネル)ホームページより

私は過去の映像化作品は見たことがなく、また原作小説も読んだことがありません。事前に少し情報を集めようと、過去の映像作品のあらすじ等を読んでみたのですが……どうにもばらつきがあることが分かりました。五社監督の劇場版では、仲代達矢扮する五名の清右衛門を主役としており、谷川弥太郎が清右衛門の下で仕掛人として人殺しをするようになったきっかけも、今回の中村梅雀版とは違います。まさに血で血を洗うような作品だそう。そういえば、五社監督の『雲霧仁左衛門』も原作とはまったく違う展開で、五社監督作品の二本には、池波氏もさぞご立腹だったようです。ちなみに、役所広司はこの『闇の狩人』の劇場版が映画デビューだとか。

一方、貞永監督版は谷川弥太郎にスポットを当てていて、こちらは割と手堅く作ってある模様。ただ、あらすじを読むだけでは今いち面白味が伝わってこなかったかな、というのが個人的な印象。時間的には、中村梅雀版に近い3時間くらいの作品のようですが。そして、今回の『闇の狩人』の主役は「雲津の弥平次」。過去の映像作品の主役とは違う人物を主役にあてています。私は原作小説を読んだことがないので、正直誰がきちんとした主役なのか、よく分かっていません(笑)。「雲津の弥平次」で正解なのでしょうか。まあ、それはともかく、今年は『鬼平犯科帳』のスペシャルもなく、また『剣客商売』のスペシャル版や『必殺仕事人2014』も低調だったので、結構期待して視聴することにしました。

前篇を視聴して

冒頭から、とにかく慎重に、そして丁寧に作られているな、という印象でした。前後篇に分けているのですから、導入部分の前篇でそこまで派手な展開はないだろうとは思っていましたが、弥平次と弥太郎の出会いから、それぞれが歩んでいる「闇の道」での心情や葛藤などが、すごくゆっくりと、かつ丁寧に描かれていたと思います。

津川雅彦扮する五名の清右衛門の、悪なれど自らの胸の内を明かさない演技なんかはさすがで、彼の巧みに人の心を懐柔する術中に嵌り、仕掛人として金を貰って人を殺す稼業に足を踏み入れた弥太郎が、自分が誰だか分からないまま、清右衛門への義理立てのために人を斬り続ける虚無感を、福士誠治が体と表情をフルに使って表現しています。殺した相手から、自分の名らしきものを聞いた弥太郎は翌日、身の回りの世話をするおみちに泣きすがり、そのまま男と女の関係に発展していくのも、自分が一体誰だか分からない寂しさゆえのひと時の情のように思えて、このあたり、上手く男心を捉えているよなあ、と思いました。その前に、お浜から「(自分の素性が分からない以上、自分にはこの刀だけが頼りだという弥太郎に対し)この世には、女っていう一番頼りになるものがあるってのにさ」と呟かれていた弥太郎ですが、そのセリフにも関連しているのかな、なんて。弥平次には、自分の身を案じてくれる女房のおしまがいる。一方、弥太郎がおみちを抱くことで、弥太郎の中に何か変化が起こるのでしょうか。

弥平次は、釜塚の金右衛門一党の面を汚し、凶賊となり果てた男を粛清しますが、弥太郎の仕掛けと弥平次の粛清が同時並行だったのも、両者の立場の違いはあるものの、引き返せない道へと踏み込んでしまった二人の立場と心境をよく表していたと思います。弥平次が弥太郎を自分の息子のように思い、何とか闇の道から抜け出してやりたいと思う気持ちが後篇でどう作用するのかも楽しみです。

後篇のお楽しみは

前篇で張り巡らされたいくつもの伏線が、後篇でどのように回収されて、どんな結末を迎えるか、が楽しみです。登場していない人物もいますし、まだ何も行動を起こしていない人物、直接本筋には関わってきていない人物等もおり、彼らがすべて出揃った時、そして胸の内を明かすようになった時、弥平次と弥太郎にどんな結末が訪れるのか……それが後篇のお楽しみだと思っています。

明日の後篇の内容次第では、DVD発売されたら買おうかなー、なんて思っています。

後篇の感想はこちら


闇の狩人 後篇@時代劇専門チャンネル - Mnemosyne 日常の記憶

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