鬼平犯科帳'69

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昨日から時代劇専門チャンネルで、鬼平犯科帳の映像化の原点である『鬼平犯科帳'69』の再放送がスタートした。主演は、原作者の池波正太郎鬼平執筆の際にモデルとした初代・松本白鸚(八代目・松本幸四郎)である。

実は、白鸚鬼平は見たことはあったのだけれど、「見たことあるよ」というだけで、中身までは全然覚えていなかった(見たことがないのと同じ、というツッコミは無しで)。昨日が第一回の放送で、タイトルは「血頭の丹兵衛」。鬼平作品群の中でも重要なエピソード*1だけれど、白鸚版の内容は、後年のものとはまったく違うものであった。

牢屋で粂八が平蔵に自身の生い立ちを語るシーンもなければ、平蔵が丹兵衛の隠れ家へ突入する件も違う。そのかわり、丹兵衛一味に加担する浪人・鳥尾大三郎と、その妻の切ない話が盛り込まれていたり、江戸で“本物の丹兵衛の仕事”を見せつけるのが、蓑火の喜之助ではなく粂八本人だったりと、後年のエピソードを知っているがゆえに、その違いに驚きの連続だった。

本格派の盗賊から凶賊へと堕ちた丹兵衛を八代目市川中車が演じていて存在感抜群。凶賊になった理由も、後のシリーズでは「年を食ったし時代も変わって、悠長な盗みなんかしちゃいられない」だったが、白鸚版では「年を取って体が言うことを利かなくなってきた。刃物を持たずに押し込んでいちゃあ、こっちがやられちまう」という理由で、昔に粂八を庇って受けた腕の傷を、粂八本人に見せつけながら語る。他のシリーズよりも説得力のある演出だ。

鬼平犯科帳の面白いところは、主演が変わるごとにそのエピソードも変化すること。大筋は、脚本を使いまわしているので同じなのだけれど、製作された時代や、俳優の意図、スケジュール等により、展開が少しだけ変わってくることがある。

二代目吉右衛門のエピソードのほとんどは、萬屋錦之介版のリメイクなのだけど、配役の違いなどもあって、同じエピソードでも、錦之介版とは別の役者が物語の中心的役割を担っている場合もある。例えば「網虫のお吉」では、錦之介版では同心・細川峯太郎がお吉を見かけたことを発端に展開していくのだが、二代目吉右衛門版では同心・木村忠吾がお吉を見かけて…という具合に、若干の変化が加えられている。それが、何だか新鮮味を感じさせてくれるのだ。

だから、「鬼平?あぁ、もう見たよ」ではなく、主演が異なるごとに「別の作品」と思いながら見ることで、いろんな発見ができて面白い。ほとんどの人は、二代目吉右衛門鬼平を見たことがあると思うけれど、そんな人たちにこそ、過去のテレビシリーズを楽しんでいただければと思う。今まで見たことがなかった方は、ぜひこの機会に視聴してみてはいかがだろうか。

【池波正太郎劇場】月~金曜 主演:松本白鸚「鬼平犯科帳'69」|365日時代劇だけを放送する唯一のチャンネル時代劇専門チャンネル

*1:密偵・小房の粂八が初登場する。

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