地域で防ぐ教育格差

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貧困等の理由により、満足な教育を受けられないことで、基礎学力の低下が深刻な子どもたちがいる。

家庭内が不安定な場合、学習環境に恵まれず基礎学力が低下する。そのため高校に進学できず、低学歴を生み、収入が安定せず、貧困がさらに加速する。そうした子どもたちの現状を食い止めようと、放課後や夜間を利用した「学外授業」の活動が、地域の大人たちによるボランティアで行われている。

全国の先駆けとなった「江戸川中3勉強会」は、すでに30年近い歴史を持つ活動グループだが、彼らは主に生活保護世帯の子どもたちを対象にして授業を行っている。生活保護世帯で育つ子どもたちの多くは、「普通の子どもたち」が体験する家庭行事*1を体験していないことから、クリスマス会などの季節ごとの行事も行っている。江戸川中3勉強会で活動する人たちの目を通した「子どもの貧困」が、次のページで語られている。

貧困の世代間連鎖は止められないのか「江戸川中3勉強会」25年目の夏に見た生活保護世帯の子どもたちの現実

三重県ではどうか。三重県内の生活保護世帯は、2012年10月現在で約13,000世帯ある*2。愛知県は約37,000世帯なので、三重は愛知のおよそ3分の1の世帯数だ。しかし、三重県は在留外国人が約45,000人おり*3、約183万人の三重県の人口*4に占める割合が約2.5%である。この割合は、全国で第3位という別の側面も持っている。

在留外国人への教育支援については、三重県国際交流財団や三重大学などがボランティアで行っている。また、日本語教室を立ち上げているボランティアグループも盛んで、活用する外国人がどれだけいるかは分からないが、支援体制は充実している。

一方で、子どもたちへの教育支援はどうか。

2013年9月7日付の中日新聞の記事より。三重県津市一身田に、ボランティアグループ「サポーターいっちゅう」という組織がある。一身田地域に住む有志が学習支援や生徒会活動支援などを行っているが、その取り組みの中に「ナイトスクール」というものがある。住民が教師となって、子どもたちに勉強を教える補習授業だとか。

ナイトスクールの目的は、「(中学生の)基礎学力向上を目指す」とある。しかし、新聞記事の中には「小学校で習う九九ができなかった生徒がいた」とある。前述の「江戸川中3勉強会」の記事の中でも、「アルファベットが書けない」「小学校低学年の算数でつまづく」といった実例があったが、「サポーターいっちゅう」に集まる学生たちの中には、貧困等を含めた、何らかの理由で基礎学力が低下してしまった子どもたちもいたのでは……そう思うと、全国的に深刻な問題が身近にあることを痛感する。

しかしながら、こうした学力低下を食い止めようとしている市民団体が身近にいることを誇りに思う。「九九ができなかった子ども」も、彼らが熱心に指導した結果、見事に克服をしたというのだから本当に素晴らしいことだ。きっと、ナイトスクールで学んでいる子どもたちの学力は、個人差はあれ確実に伸びているだろうし、勉強だけではない「地域に住む人々の温かさ」みたいなものを、子どもたちは感じているのではないだろうか。新聞記事のとおりになってしまうが、ナイトスクールの卒業生が、今度は「教える側」として戻ってくることを願いたい。

このように、家庭と学校の間に地域が入って、NPOが教育等をサポートおよびコーディネートをする体制が、これからますます重要になってくるだろう。不安定な家庭環境に育ち、基礎学力が低下した子どもたちに、教育現場はどう対応するのか。地域での家庭環境を取り巻く課題は複雑に絡み合っていて、そこから派生した教育課題に立ち向かう教師のマンパワーには限界がある。

基礎学力の向上も大切だが、原点に立ち返った「子どもの教育」について、学校と家庭と地域が連携して考える場づくりを進めなければいけないと感じる。地域の多様な主体の特徴が活かされた新しい“教育のカタチ”。家庭環境や貧困等に捉われず、地域全体が子どもたちの成長を見守っていく仕組み作り。

そのコーディネーターこそが、NPOの役割であると私は考える。

ドキュメント高校中退―いま、貧困がうまれる場所 (ちくま新書)

ドキュメント高校中退―いま、貧困がうまれる場所 (ちくま新書)

*1:家族旅行、クリスマスを祝う、など

*2:http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2012/10.html

*3:http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001111183

*4:2013年8月1日現在