「ボランティア」への考え方 〜ボランティアコーディネーター養成研修【基礎編】より〜

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今年度に入ってから、三重県社会福祉協議会が行っている「ボランティアコーディネーター養成研修【基礎編】」に参加している。講師は、皇学館大学現代日本社会学部教授・守本友美先生。今日は4回目のプログラムで、テーマは「企画・プログラム開発」だった。

ボランティアの提供側と受入側が、それぞれ感じている「もっとこんなことはできないか」「こうなればいいのに」といった“何とかしたい”という想い・気持ちを、両者を仲介するコーディネーターが聞き取って『問題化』して、改善に取り組むための仕掛けや仕組みづくりを企画すること(=プログラム開発の方法)を学んだ。ボランティアコーディネーターとしての役割だけではなく、組織の中で企画を立案するときにも、この方法は役立つだろうな……と思いながら講義を受けていた。

ちなみに、この「ボランティアコーディネーター養成研修【基礎編】」は本当に内容が充実していて、例えば3回目のプログラムである「情報収集・整理・発信」では、情報収集のためのテクニックから、自分たちの組織が行うイベント等の情報整理、発信方法を学んだのだが、これが実践に即した内容で、すぐに業務に活かすことができる内容だったのが良かった。

偶然だったが、3回目を受講した翌日の勤務で組織のイベント(講座)を告知することになり、早速研修で学んだ手法で発信を試みたところ、非常にすっきりとまとまった、自分でも納得できる情報発信を行うことができた。発信するための内容を整理し、いかに相手に伝えやすく分かりやすい告知・発信をするか。インプットしたものをすぐにアウトプットできたので、理解度もより高まったように思う。

「ボランティア」に対する自分自身のスタンス

今日の研修の中で、「ボランティアのモチベーション」について学ぶ機会があった。

代表的な考え方として、

の2つがある。

利他主義」とは、自己犠牲的に奉仕精神に基づいて行われる活動で、宗教的な価値観と結び付けられることが多い。一方、「利己主義」とは自分発のモチベーションを持つ存在。以下の3つの理論が代表的だそうで、

  1. 一般的交換理論:ボランティア活動は巡り巡って自分に益があると考えて行われる行為だ、という考え方。
  2. 投資理論:ボランティア活動は自分への投資であると考えて行うとする考え方。
  3. 消費理論:ボランティア活動は自分の楽しみのために行われるとする考え方。

ということらしい。

私自身、以前コミュニティ・ユース・バンクmomoが実施した「プロセスマネージャー養成研修」の「ブラインド・コーチング・ワークショップ」の中で、自分が誰かを支援するときのスタイルは「利他主義」的な部分があって、自己犠牲的な方法で誰かを支援していくタイプだ……と自覚していたのだが、この「モチベーション」について話を聞いていると、どうやら自分は100%利他主義というわけではないということが分かってきた。

振り返ってみると、自分がボランティアを行うときの考え方として一番近かったのが、利己主義の中の「一般的交換理論」の部分。「巡り巡って自分に益がある」というのは、日本のことわざで言うところの「情けは人の為ならず」で、具体的には、自分が良いことをした分だけ“徳を積める”ことと、金銭ではなく「誰かの役に立った(立っている)」という自分の心の満足感を得たい……ということに気付いた。つまりは「承認欲求」が強い、ということが根底にあるのだろう。

他の動機アプローチの例も面白いものが多く、

  1. 「自分探し」:自分の行いたいことが分からないので、とりあえず参加して自分の道を探そうとする。
  2. 「利他心」:利他主義的な動機。
  3. 「理念の実現」:ボランティア活動を通じて自分の理念や思いを実現したいという意識。
  4. 「自己成長と技術習得・発揮」:知識や技術を身につけたい、またはそれらを発揮したいと思い、活動に参加する。
  5. 「親和」:友達づくりや活動自体を楽しむことを望み、参加する。
  6. 「社会適応」:人から誘われたり、勧められたりしたから参加。
  7. 「テーマや対象への共感」:以前、自分が同じような立場であったことで、利用者などに共感的な意識を抱き、活動に参加する。

という7つの分類を学んだ。

こうして考えると、自分がボランティアに参加する(参加してみよう)と思うときに、どういう理由から参加するのか…を、自分の中で整理することができる。

「俺はなんでボランティアに参加しているんだろう」という、モヤモヤの中で参加するんじゃなくて、「俺はこういう考え方や目的があるから、このボランティアに参加しているんだ」と明確に言えるほうが、やりがいや張り合いも出てくるような気がする。また、長い間ボランティアをしている人でも、一度立ち止まって自分の考え方を整理して振り返るためにも、こういう分類や要素は役に立つかもしれない。

ここまでで、ボランティアに対する自分の考え方や想い、行動を自己分析してみると、

  • 参加動機:「自己成長と技術習得・発揮」「テーマや対象への共感」「親和」
  • 考え方:利己主義(一般的交換理論)
  • 行動:利他主義(自己犠牲的)

という感じだろうか。自己犠牲的にボランティア活動をすることで、誰かに承認してもらい、自分の心の満足という「利益」を得たい……ということなのかもしれない。

自分の「ボランティア」に対するスタンスへの理解に一歩近付けたことも、今回の研修の大きな結果だったように思う。

プログラムの開発

午後のワークでは、実際にプログラムを開発してみよう、ということで、「活動中のボランティアに必要とされる学習の場」の企画を行った。

「プログラム名」「具体的な活動内容」「求められるボランティア像(技能・年齢など)」「活動の時期、頻度」「活動の場所」「プログラム責任者」「ボランティア担当者」「ボランティアが得られるメリット」…以上8項目を、グループになったメンバーと一緒に話し合いながら中身を決めていく。

あるメンバーが「福祉施設が地域ボランティアを受け入れるときの『上手な受け入れ方』みたいなものがあると嬉しい」という言葉をきっかけに、以下の内容で企画を立案した。

プログラム名 そうだ!施設へ行こう♪
具体的な活動内容 施設と地域をつなぐ講座・グループワーク。地域にある施設とボランティアをつなぎます。講座では、外部講師をお招きし、先進事例を紹介します。グループワークでは、(施設や地域ボランティア同士が)交流します。
求められるボランティア像 地域でボランティア活動を行っている方。(学生ボランティア大歓迎!老若男女問わず!)
活動時期、頻度 8月。12月。3月(年3回)
活動場所 8月:高齢者施設、12月:障がい者施設、3月児童施設
プログラム責任者 社協NPO
ボランティア担当 各施設、社協NPO
ボランティアが得られるメリット ボランティア同士の交流、施設とボランティアの交流やつながり、新たなボランティアスタイルが開拓できるかも?、先進事例を学べます、施設のことがわかります
  • 福祉施設はそれぞれ地域の中でどこまで開かれているか分からないし、点在しているだけで施設間のつながりは乏しい。
  • ボランティア活動を行っている地域住民と、地域にある各種福祉施設をつなげることで、地域全体が、福祉のことについてより目を向けるような仕組みはできないか。
    • そこに、学生ボランティアを巻き込むことができれば、世代間交流にも発展できる。
  • 他府県で、地域全体で福祉に取り組んでいる人を講師に招いた事例を教えてもらうことで、地域福祉に活かすことができないだろうか。
  • さまざまなボランティアグループが集まり、交流を行うことで、新たなボランティアスタイルを発見することができるのでは?
  • 講座と交流会を、実際の現場である「福祉施設」で行うことで、福祉施設で行っている活動や事業を、地域ボランティアの人に直接見ていただけることができる。
    • 施設への理解が深まる。施設がボランティアを受け入れるときも、よりスムーズに受け入れができるようになる。
  • 社協とボランティアグループだけではなく、NPOを絡めていくことで、何か違った発想が生まれるのではないか。

こういった意見をもとに、企画をまとめてみた。このワークが終わったあと、みんなと「この企画って、実現させようと思ったら十分実現可能だよな…」なんて思ったり。

自分がNPOとして感じたことは、「やはり福祉についてはよく分からない」ということと、「行政だけではなく、社協福祉施設との連携や協働も進めていく必要がある」ということ。

前者はさらに学習をしないといけない。後者については、NPO法人で介護事業等を行っている事業所は数多くあるが、彼らにとっての“中間支援組織”は、我々のようなNPOの中間支援組織ではなく、あくまで社協。目線や考え方も、社協とのつながりを前提としたもので、「福祉NPO」と「中間支援組織のNPO」の相互理解が足りないと前々から感じていた。こういう企画があれば、「中間支援組織のNPO」と「社協」と「福祉NPO」が連携を取れるし、もっと密接に関わっていけるのにね、という話を、同じグループの社協の方としていたのが大きな気付きだった。やはり、地域を巻き込んだ各団体同士の「お見合い」は必要なんだな、と。

今回の研修も、いろんな気付きや学びがあり、大変勉強になった。「ボランティアコーディネーター養成研修【基礎編】」は、残すところあと2回の開催だが、しっかりと学んで、自分の中に落とし込んで、来年度につなげて行きたいと思う。

守本先生、社協の皆さん、ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。