『つしなべ!おかわり』と包丁のお話

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今週の『つしなべ!おかわり』のゲストは、研ぎ師の藤原将志さん。

職人として後進の育成にも励んでいる藤原さんですが、放送中に、実際に家庭用の包丁を研ぎ「正しい包丁の研ぎ方」「正しい研ぎ石の使い方」を説明してくださいました。

番組が始まる前に藤原さんといろいろお話をさせていただきましたが、ちょっと驚いたのが、「現在販売している包丁には研いでも長く使えないものがある」という話。「ホームセンターや100均などで販売している大量生産の包丁は、粒子も荒く研ぎにくく、研いでも切れ味に限界がある」とのこと。また、購入したばかりの包丁の切れ味が、その包丁の持つ最大の切れ味なのかと言えば、決してそうではないことなど、今までまったく知らなかったことを教えていただきました。

藤原さんのお店で販売している包丁は家庭用の包丁で、値段も14,700円とホームセンターなんかで買うものよりも大変割高ですが、手に持った感覚はずっしりと重みがあり、また切れ味も抜群。実際にこの包丁で新聞紙を斬らせていただきましたが、包丁の刃が新聞紙の切断面を、まるで吸い付くようにしっとりと滑り、しかし繊細に切っていく感覚は、驚きと同時に恐ろしさすら感じました。ちなみに、この包丁は手作りのため大量生産はできません。せいぜい、一日に14本くらい作るのがやっと、とのことでした。

また、包丁一つで料理の味も大きく変わるそうです。粒子の細かい包丁は、野菜を加工するときに繊維を傷めずに切るので、味が非常に染み込みやすいそうです。そして、完成した料理を最初に口に入れたときの味覚にまで影響するのだそうです。高名な料理人ほど包丁にこだわるのでしょうけれど、自分の料理の腕前を存分に発揮できる包丁を使用することで、最高のパフォーマンスを提供できるからなのでしょうね。

こうして作られる藤原さんの包丁ですが、どれくらい長く使えるかというと、藤原さんが自店の顧客を対象にアンケートを取った現段階の結果で「23年」。つまりは、これからどんどんと伸びていくということです。「本物の包丁」は、正しい手入れをしながら使うことで、非常に長く使うことができるのです。14,700円で購入した包丁が、20年以上も使うことができれば御の字ですね。もちろん、手入れのお金もかかるでしょうけど、その分きっと愛着が湧いてくると思うのです。

番組内では、実際に包丁を研いでいる様子が映し出されています。僕も、現場で実際にその様子を見ていましたが、研いでいるのを見るだけだと、まるで素人でもできそうです。しかし、実際には長年の修行によって培われる研ぎ澄まされた感覚が無いと、上手く研げない(切れ味が戻らない)そうです。また、藤原さんは講習や後進育成のためのステップアッププログラムを用意しているそうですが、全5ステップのうち、大半の人は2ステップまでしか達成できないそうです。しかし、この2ステップをマスターするだけでも、十分家庭用の包丁に切れ味を取り戻すことができるとも藤原さんは仰っていました。

バブル期の「消費は美徳」の時代を経て、「包丁の大量生産」の時代になり、包丁の正しい研ぎ方を知らない料理人が増えたことを嘆いておられた藤原さん。また、「今の研ぎ師は、60歳がルーキーです」と語り、後継者不足にも頭を悩ませる藤原さん。「刃物を研ぐ」ことの奥深さと、研ぎ師の世界を取り巻く環境と課題を短い時間でしたが知ることができ、大変勉強になった2時間でした。

人間は食べ物を食べて生きていく生き物である以上、料理をすることは生活に欠かせない日常の行動です。そこで使う包丁ですから、多少高くとも良いものを買って、長く使っていくのが正しい判断なのかもしれませんね。ひいては、それが家庭の食のクオリティを向上させる結果へと繋がるのかもしれません。

津のまちTV『つしなべ!おかわり』 2011.09.08 http://bit.ly/opMsr9

月山義高刃物店(研ぎ師・藤原将志) http://www.tsukiyama.jp/

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